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春の嵐、わがテイにも。下巻

 
 たしかにその日はいつもと違っていた

前日まで続いた 氷つくような寒さは
[恐ろしく肺活量のあるヒーロー]がちょちょいと
吹き飛ばしたかのように消え去り
早春の、雲一つない青空が晴れ渡っていた


それまでであれば
予期せぬ届け物であれば、配達びとを屋内まで呼び入れ
都合のいい場所を指定して配置してもらうところだが
その日に限って、
愛想よく「あ~そこでイイッスよ~、」などと
万人の如く科白を発していたのである。


私は
慣れた足どりで、しかし確実に
玄関先へと到着し、
その業者の方が置いていった
見なれた、ほぼほぼ体積も容認できる
白塗りの荷物を、目視した。



次の瞬間
左側の耳のごく近くで音がした。
 ピキ!。

それは、まったく無警戒に、2才の子供が初めてもらった
オモチャに喜びいそしむように無垢に、
届けられた24kgの[水]を、体を2つ折りにしながら持ち上げようとした
その瞬間だった。

そして
今までの人生の中で、あまり聞き慣れない音。
…そんな印象が脳裏を這いずり回った。

何秒かして
怪音の発生地域は、私の背後、肩甲骨の少し下、
粗身体の中央付近だということがわかった。

そのまま、玄関先に[寝んね]してしまったことは
想像に難しくないはずである。


その日の夜
近くの整骨院に駆けこみ、お助けを申し出た。




日々、健康であるということが
如何に、実は満たされた世界であるということ。

人生、歩き続けることは大変である
しかし、同じ速度で歩き続けることはもっと大変である。


知らされた最近であった。
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  by hirari013 | 2012-04-07 21:46 | ハチロウ

春の嵐、わがテイにも。 上巻 

 
 我が家には ヲーターサーバー成るものがある。

いつでも冷たい水や熱湯が、レバーを軽くひねれば
お好みの分量だけ配水されるというアレだ。

予約さえすれば定期的に確実に、天然水が各家庭で
気軽に楽しめるというアレのことだ。


一昨日、
20日ぶりに、新しい[水]が届いた

玄関の呼び鈴を鳴らした
意外に声が高めの宅配業者が
カメラごしにその旨を伝えてきた

私は 不意の出来事で驚きながら
そして、屋内清掃中のため 門戸前へ
置き去りにするよう、割りと愛想のある中年の業者
へ指示した 


彼はまるで
古くからの友人であるかのように
私の言う通りにした。

その言動は
昨今コムニケーションが希薄になる現代社会において
生の人間同士が相対するとき、その不確実なモノしか存在しない
お互いの間で、聞く、話す、ボタンを押す、
確実な衝動を少しだけ思い出させてくれるものだった。



数分後
私はその[水]を受け取るために
春の木洩れ日が差す、暖かい屋外へ、歩を進めた

後にその一歩が
ジムにおいてあるレッグカールで、15キロの重しをつけて
トレーニングしてるかのようにならざることとなることも
知らずに…。
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  by hirari013 | 2012-04-04 01:53 | ハチロウ

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